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【読書】闘う! ウイルス・バスターズ 最先端医学からの挑戦

生協で目にしたので購入。タイトルに「バスターズ」とあるように、鳥インフルエンザ、SARS、HIVといったウイルス研究そのものの話題よりも、「ウイルス研究者」が主人公の本。どんな人がどんな雰囲気でウイルス研究をやっているのかな、という疑問に、著者の研究室メンバーや、最前線で研究を続ける学者、行政担当者へのインタビューで答える。

全体的に易しい言葉で書かれていて、とても読みやすい。僕はウイルス研究をやっているわけではないけど、どちらかと言えば著者側の人間。それでも、生物学の研究をやっている人たちがどんなことを考えて、どんな生活をしているのか知るのは楽しい。

後半に名前は拝見したことがある人物のインタビューがありました。抗HIV剤研究のワクワクするような内容です。特許関連の話などあまり知る機会の無い話題も貴重でした。プロフィールを読むと、私が所属する大学の医学部の先生でしたね。そりゃ生協にも置くハズ。

良書です。かなりおすすめです。

胆のうに関する誤解と研究者の視点

助教の先生がしばらく前に入院されていた。研究室に復帰はしたものの、お酒や激しい運動、脂肪が多い食事を控えられていた。事情を訪ねてみると、胆石を取り除く手術を行ったそうだ。

そこで胆のうの話になったんだけど、僕はずっと(小学生以来)胆のうについて誤解していたことが分かった。

胆のうは、脂肪を分解する消化液(胆汁)を作って分泌する器官、だと思っていた。これが全然違う。

まず胆汁そのものには消化酵素は含まれていない。胆汁は脂肪を乳化してその消化吸収を促進する。また、胆汁は肝臓で作られ、胆のうで濃縮、貯蔵される。

先生は胆のうをまるごと切除する手術を行った。そう聞いたときは驚いたけど、上記の理由から、胆のうは必須な消化器官というわけでは無いようだ。担当医の説明では、肝臓が腸への胆汁の分泌料を調節するように体が慣れてくる、とのことらしい。

こういう話を聞くと、医学系、薬学系の人が培養細胞の実験をin vitroと言うのが分かる気がする。培養細胞とsiRNAを使ってノックダウン実験をやる、表現型が出た、じゃあ個体でも?違うんだろうなぁ。時間をかけて作ったノックアウトマウスだって、表現型が出ないとかよくあることだし。だからといってその遺伝子に機能は無いとは言わないけど。この場合は変異が個体レベルでは相補されてしまって、表現型が隠れてしまってるのかもしれない。

背景の違う研究者によって観てるレベルが違う。当たり前と言えばそうだけど、胆石の話から思ったことでした。

熊本で開催されている人体の不思議展を観てきました

熊本県立美術館で開催中の人体の不思議展に行ってきました。(写真は無し)

熊本で生活してると、今至る所で割引チケットを入手する機会があるのではないでしょうか。といっても持って行くの忘れたんですけど。

人体の不思議展、検索してみるとすぐ分かりますが、”いろいろと”話題のようです。特に献体の由来について。

実際に観てみると、想像していたより気持ち悪くない。むしろ全然本物っぽくありませんでした。プラスティネーションという手法で、献体の水分なんかを樹脂に置き換えて固定?しているようです。触ってみても、プラスチックに似た感触でした。

気になったのは血管のみを綺麗に取り出して展示してあるもの。血管に樹脂を流し込んだのかな…と思って説明を読むとそのとおりでした。うーん、”遺体の”血管に樹脂を流し込める…のか?毛細血管まで隅々に。どうやって作ったんでしょう、かなり気になります。

あとは、3ヶ月目の胎児の献体が気になりました。3ヶ月でコレぐらい育っている、ということをしっかり認識出来ました。完全にヒトの形でしたよ。

それなりに楽しめましたよ。ただ、筋肉がちぎれていたり、展示物にけっこう痛みがあったので、本物の遺体を利用する必要はあるのか?と疑問はありますが。模型っぽいならはじめから綺麗な模型でいいじゃん、て思いました。

帰りは夕食に焼肉を食べて帰りました。何故か。