胆のうに関する誤解と研究者の視点

助教の先生がしばらく前に入院されていた。研究室に復帰はしたものの、お酒や激しい運動、脂肪が多い食事を控えられていた。事情を訪ねてみると、胆石を取り除く手術を行ったそうだ。

そこで胆のうの話になったんだけど、僕はずっと(小学生以来)胆のうについて誤解していたことが分かった。

胆のうは、脂肪を分解する消化液(胆汁)を作って分泌する器官、だと思っていた。これが全然違う。

まず胆汁そのものには消化酵素は含まれていない。胆汁は脂肪を乳化してその消化吸収を促進する。また、胆汁は肝臓で作られ、胆のうで濃縮、貯蔵される。

先生は胆のうをまるごと切除する手術を行った。そう聞いたときは驚いたけど、上記の理由から、胆のうは必須な消化器官というわけでは無いようだ。担当医の説明では、肝臓が腸への胆汁の分泌料を調節するように体が慣れてくる、とのことらしい。

こういう話を聞くと、医学系、薬学系の人が培養細胞の実験をin vitroと言うのが分かる気がする。培養細胞とsiRNAを使ってノックダウン実験をやる、表現型が出た、じゃあ個体でも?違うんだろうなぁ。時間をかけて作ったノックアウトマウスだって、表現型が出ないとかよくあることだし。だからといってその遺伝子に機能は無いとは言わないけど。この場合は変異が個体レベルでは相補されてしまって、表現型が隠れてしまってるのかもしれない。

背景の違う研究者によって観てるレベルが違う。当たり前と言えばそうだけど、胆石の話から思ったことでした。

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