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疑問、論文の内容についてブログなどに書くとき

この論文面白いな、ブログで紹介してみたいな、と思ったとする。
その論文はウェブで読めて、アブストはフリー、本文やデータに関してはその出版社のアカウントを持っていないと読めない、というよくある状況の場合。

論文の内容、データにまで触れたレビュー記事を自分のブログで公開してもよいのだろうか。

と、ふと疑問に思った。

本来ならば有料の情報を無料で公開してるというところが引っかかる。
無料で公開といっても程度はあるかもしれない。pdfで丸ごとアップロードしてるのはさすがに目撃したことがない。では、分かりやすく説明するために論文中の図や写真を引用するのは?さらに図表を改変して公開するのは?

そもそも、学術論文の情報そのものが有料なのか、それとも雑誌の形に整えられていることが有料なのか。この辺りの知識が無くて戸惑っています。

論文を読むということ

教授の先生と話したこと。

僕の研究室では、論文紹介のゼミで「専門の領域とはちょっとだけ離れた話」の論文を紹介するのが良いとしてきました。その理由として、専門分野の論文は各自が最新情報を追いかけてチェックしているものだ、という前提があったからです。

でも実際には、普段はあまり論文を読んだりしない学生がいるのも事実です。ゼミの前だけとか、卒論・修論の時期だけとか。

で、最近 ”もしかしてみんな、あんまり論文チェックしてないんじゃね?” っていう気がしてたのです。一部の学生ではなく、多くの人が。

それはいくらなんでもマズいよということで、”こんな論文あったよー” という軽い感じで論文を紹介しあう会を作ってみようか、という話になりました。タイトルとアブストぐらいのノリで良いと思うんです。気になったら自分で読めばいいので。なんというか、各自のアンテナ、アラートを共有する感じといいますか。

うちのラボだけかなぁ、こういう状況。例えばあなたが先輩で、後輩に「おぉ、この論文見た?面白いよねぇ」と会話を振って、返ってくる反応はどんな感じでしょうか。僕が新入生だったころにはそういう会話をバンバン振ってくる先輩がいて、その論文のことを知らなくても、あとで自分でチェックしてみたりしたものですが。

そういう雰囲気をうまく引き継げなかった、今となっては先輩の立場になった僕は反省しております…。

ボルボックスの性決定に関する論文について

動画の撮影主さんのブログ。生き物好きにはたまらない内容となっております。

ボルボックスのことは全然知らない素人もいいとこですけども、この生物の美しさはよく分かります。このボルボックスの性決定の研究が、すこし前にニュースになっていました。例えば以下の記事。

オスとメス別に進化 証拠発見 NHKニュース

精子と卵子で生殖を行う原始的な生物の「ボルボックス」を研究グループが調べたところ、世界で初めてメスになるために欠かせない遺伝子が見つかったということです。見つかった遺伝子は、卵子がつくられる際に働くとみられていて研究グループでは、オスとメスは、性別がない状態からそれぞれ必要な遺伝子を獲得し、誕生したとしています。

また研究内容については東京大学のプレスリリースが詳しい。元になった論文はScienceのこれでしょうか。Evolution of an Expanded Sex-Determining Locus in Volvox

こういうニュース記事になる研究って、大抵は元になった論文を読まずに「ふーん」とか分かったフリをしてしまう普段の僕ですけども、この論文については僕が設定してるPubMedのRSSに引っかかってきたのでちょっと意外でした。以下気になった部分。

ボルボックス染色体の性決定領域にMAT3という遺伝子があり、この遺伝子発現は性特異的なスプライシング制御を受けているとのこと。MAT3 mRNAはエキソン、イントロンの選択によって様々なパターンが存在しており、オス特異的、メス特異的なmRNAが検出されていました。そしてこの性特異的なスプライシングは、MAT3と同じ染色体領域にコードされているスプライシング因子によって制御されている可能性がある。

性決定に関わるスプライシングって昆虫の研究で見かけたような気がしますが、それにしても気になります(そのスプライシング制御の部分が特に)。読む人が変われば、注目する点が変わってしまう。様々に読むことができる論文って良い論文だと思います。

うーん、それにしてもボルボックス、きれいですね。大きい球体のなかに複数ある小さい球体は、娘群体だそうです。動画を観る感じだと、娘群体の配置に規則性があるような気もします。気になる。